EmDash ってなに? 読み方・作った会社・使っているところまとめ
読み方は「エムダッシュ」。2026年に Cloudflare が出した、WordPress の"精神的な後継者"を名乗る CMS です。

まず、読み方は「エムダッシュ」
EmDash は「エムダッシュ」と読みます。よかった!普通読みだった!
文章で使う長いダッシュ記号「—」(em dash)と同じ綴りです。管理画面のロゴも、四角の中に横棒が1本入ったデザインになっています。名前の由来について公式の説明は見つけられませんでしたが、たぶんこの記号から来ているのだと思います。
作ったのは Cloudflare
EmDash は、Cloudflare が作ったオープンソースの CMS です。ライセンスは MIT なので、誰でも無料で使えて、改造もできます。
Cloudflare は EmDash を、WordPress の「精神的な後継者(spiritual successor)」と紹介しています。WordPress の良いところ(拡張できる、管理画面が使いやすい、プラグインがある)を受け継ぎながら、中身は新しい技術でゼロから作り直した、という位置づけです。
ちなみに、WordPress のコードは1行も使っていません。すべて TypeScript で書かれていて、Astro というフレームワークの上で動きます。
2026年生まれの、とても新しい CMS
- 2026年4月1日:発表。最初はプレビュー版(v0.1.0)でした
- 2026年9月末:正式版の 1.0 が公開
- 2026年10月:このサイトは v1.3.1 で動いています
発表日が4月1日だったので、「エイプリルフールの冗談では?」と思った人も多かったそうです。1.0 が出るまで様子見していた開発者も少なくありません。
WordPress と何が違うの?
1. プラグインが安全な「箱」の中で動く
WordPress のプラグインは、サイト全体に何でもできてしまいます。ひとつのプラグインの穴が、サイト全体の乗っ取りにつながることもあります。
EmDash のプラグインは、隔離された環境(サンドボックス)で動き、管理者が許可したことしかできません。
2. パスワードがない
ログインはパスキー(Touch ID や顔認証など)が基本です。漏れるパスワードそのものがありません。
3. AI から操作できる
MCP サーバーが最初から入っていて、Claude などの AI から記事の作成や設定の変更ができます。
4. WordPress からの引っ越しができる
WordPress のエクスポートファイル(WXR)から、記事を取り込めます。
5. 有料記事の仕組みがある
x402 という、ネットで支払いをするための標準に対応していて、コンテンツを有料にすることもできます。
6. 動く場所は Cloudflare か Node.js
Cloudflare の Workers・D1・R2 の上で動くのがいちばん得意です。Node.js が動くサーバーでも動かせます(この話は、 B5 で書いています)。
どこが使っているの?
Cloudflare の発表によると、次のサイトが EmDash を使っています。
- Cloudflare 公式ブログ:2026年8月に EmDash へ移行。毎週数百万のページビューがある大きなブログです
- Avulux:WordPress で作っていたマイクロサイトを、1日もかからずに EmDash へ移行したそうです
1.0 の時点で、175人以上が開発に参加し、25の言語に翻訳されています。
ただし、こうした数字は主に Cloudflare 自身の発表によるものです。大きなサイトでの実績は、まだこれから増えていく段階です。
気になるところ
公平のために、気になる点も書いておきます。
- WordPress の代わりには、まだ重い:ホスティング会社 Kinsta の担当者は、「ほとんどの WordPress ユーザーが乗り換えるには、複雑すぎるツール」とコメントしています。Git やコードの知識が前提になる場面が多いです
- Cloudflare への依存:Node.js でも動きますが、便利な機能の多くは Cloudflare のサービスが前提です。「結局 Cloudflare から離れにくいのでは」という指摘もあります
- プラグインはこれから:WordPress のような、何万ものプラグインの世界はまだありません
わたしの感想
WordPress を19年以上作ってきた身としては、「WordPress の良いところを、今の技術で作り直したらこうなる」という答えのひとつだと感じました。
フェーズ1でサイトを立ち上げて、フェース2でEC機能を入れよう、なんてことはできるのかなと調べてみました。EmDash には WooCommerce みたいに「入れたらすぐショップになる」EC プラグインは、今のところありませんでした。
ちょっと紛らわしいのがEmDash の売りの一つに「x402 決済」というのが最初から入っているのですがEC とは別物です。暗号資産のウォレットで「記事やページを1回 $0.01 で見せる」みたいな、有料コンテンツや AI ボット向けの課金の仕組みなので、お客さんがカード決済で商品を売る用途には使えないようです。ECにしたい場合はStripe決済を組み合わせて自作する感じなら行けそうですね。shopifyと組み合わせるとか。
今の所、お客さまが望むかどうかは分からないなと感じました。テックブログとか、新し物好きの肩とか、ちょっと変わったサイトなら、企業からも需要がありそう。個人的なサイトには十分に使えます。このエレベーターみたいに。
さあ、もうひとつ上の階へ。




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